Tableauはわかりやすい料金体系という。利用者はわかりづらいと捉えるライセンス体系。
2018年の春くらいでしたかね。Tableauのライセンスは買取形式からサブスクリプション形式(サブスク)へと変貌しました。
サブスクとは、一定期間の間、使用料を支払うとソフトウェアが使えます。その期間が過ぎたらまた同じ値段を支払うライセンス形態です。
当初、このライセンス体系を見てもよくわかりませんでした。ほとんど翌週くらいに代理店を呼び寄せたんですけど、代理店もよくわかっていなかったですね。彼らも外資メーカーに振り回されている姿が滑稽でした。
Tableau Desktopなどのソフトウェア製品は現在、「機能」としてとらえないとライセンス体系を読み取れません。まして、旧体系を知っている人は過去の先入観があるのでなおさら。
日常の運用でライセンス管理を運用しているのでその目線で記事投稿します。
買取からサブスクへの変化、その背景とは

これは恐らく、Tableauは「共有される環境」を広めたいんでしょうね…
小規模なオフィスだと買取形式をいくつか購入してファイル形式(.twb, .twbxなど)で共有することが可能でした。実際、うちのオフィスもそうでした。サーバーレスでTableauが使えた。
しかし、これはTableau社にとっては美味しい話ではない。
彼らはもっと広く使われる環境で製品を使ってほしいと考えている。そうしないと事業を伸ばせない。
すでに新規でのTableau Desktop買取はできないようにされています。ライセンス目線では、オンプレかクラウドかどちらかでサーバーが必須な形態に変化している。
押し寄せるMicrosoft PowerBIという脅威。
なにやらグーグルもBIツール作っているぞ(データポータル)。そんな競合事情を先読みしたライセンスのサブスク化に思えました(すみません、ほかのBIツール良く知らないので割愛…)。
(旧)買取形式と(新)サブスクリプション形式のライセンス違い
買取とサブスクで根本的にライセンスの概念が変わりました。
買取は製品そのものにライセンスが付随していました。Tableau Desktopの利用権がいくつ、Tableau Serverの利用権がいくつなど。
サブスクリプションは製品ではなく、アクター志向に変わっています。アクターにTableau製品が「機能」としてくっついています。
各ライセンスで出来ること
Tableau社だとCreatorライセンスの説明は…
インサイトを引き出すためのパワフルな Tableau 製品スイート。エンドツーエンドの分析ワークフローを支援します。
何いっているかサッパリわかりません。以下のように翻訳します。
- Tableau Creator
- 使える製品:Tableau Desktop、Tableau Prep、Tableau Server
- こんな人が使う
- フルスタックで仕事ができる人
- サーバーやサイト管理に関わる人
- 元々、Tableau Desktopを中級以上に使えていてPrepを覚える余裕がある人
- 職場でライセンスを管理していて自分に都合の良いように割当できる人(能力関係なし)
- Tableau Explorer
- 使える製品:Tableau Server
- こんな人が使う
- Tableau初級者、簡単なグラフを作る必要がある人
- (一定の範囲で)サーバーやサイト管理に関わる人
- とりあえず使わせろと言ってきたが恐らく使いこなせないであろう人
(アクセスしなくなったらしれっとアクセス権を消しましょう)
- Tableau Viewer
- 使える製品:Tableau Server
- こんな人が使う
- Tableauでグラフを作らない人、見るだけで満足する人
- 実務能力が低下し、戦力にならない管理職
(アクセスしなくなったらしれっとアクセス権を消しましょう)
各ライセンス最低購入数と価格
価格は税抜きです。
ライセンス | 単価 | 最低購入数 | 最低購入価格 |
---|---|---|---|
Tableau Creator | 102,000円 | 1~ | 102,000円 |
Tableau Explorer | 51,000円 | 5~ | 255,000円 |
Tableau Viewer | 18,000円 | 100~ | 1800,000円 |
ライセンス | 単価 | 最低購入数 | 最低購入価格 |
---|---|---|---|
Tableau Creator | 102,000円 | 1~ | 102,000円 |
Tableau Explorer | 60,000円 | 5~ | 300,000円 |
Tableau Viewer | 22,000円 | 100~ | 2,200,000円 |
Tableau製品で出来ること
Tableau Desktop

利用者側にとってメインとなる製品です。
その名の通り、デスクトップPC(またはノートパソコン)にインストールして使います。
データビジュアライゼーション(データ可視化)を行い、データからインサイト(気づき)を引き出します。
ざっくりと言うと、パソコンでグラフ(Vizと呼びます)を作るツール。
Tableau Prep

比較的新しい製品です。
Prepは「Preparation(準備)」の略でデータ前準備・クリーニングを行うツールです。Tableau Desktopでデータ可視化を行う前にツールが分析しやすいようにデータを整えます。
なくてもなんとかなると言えばなりますが、一度使い方を覚えると手放せなくなるでしょう。
Tableau Server / Online

Tableau Serverは、Tableau Desktopで作ったViz、ダッシュボードを公開して多くの人で見るためのプラットフォームです。この製品はオンプレミスやプライベートクラウドでの利用を検討する企業をターゲットにしています。
Tableau Onlineは、Serverの運用をTableau社に任せるホスティング、クラウドサービスです。
Tableau Reader

Tableau社のツールでありながら、Tableauからは推奨したくないツール(苦笑
Tableau Desktopで作ったViz、ダッシュボードをファイル形式で共有できます。
Tableau Reader自体は無料、しかし一切の編集機能は持ちません。
Tableauライセンスの選び方
オンプレか、クラウドか

まず最初にTableauをシェアするプラットフォームを検討します。


サーバー環境を自社で用意するオンプレミスか、ホスティングごとTableau社に任せるクラウドか。
ライセンスの購入は、Creatorが最低一つ必要になります。このCreatorライセンスにはTableau Server、あるいはTableau Onlineへのアクセス権が一つついています。
Tableau Onlineなんて使わないという企業、Tableau Desktopだけあればよいという企業はオンプレミス利用になる。サーバー環境が必要な企業は自社の方針に従い、オンプレまたはクラウドを選ぶということになる。
アクターで必要量を検討する
各アクターでできることはこちら(押すと開く)。
Creator | Explorer | Viewer | |
---|---|---|---|
アクセス | |||
Web およびモバイル | |||
埋め込みコンテンツ | |||
操作 | |||
ビジュアライゼーションおよびダッシュボードの操作 | |||
カスタムビューの作成および共有 | |||
画像としてのビジュアライゼーションのダウンロード (.pdf、.png) | |||
サマリーデータのダウンロード | |||
すべてのデータのダウンロード | |||
データ品質に関する警告の確認 | |||
コラボレーション | |||
ダッシュボードまたはビジュアライゼーションでのコメントの追加 | |||
自分のサブスクリプションの作成 | |||
データドリブンアラートの受信 | |||
他ユーザーのサブスクリプションの作成 | |||
データドリブンアラートの作成 | |||
作成 | |||
既存のワークブックおよびビジュアライゼーションの編集 | |||
既存のパブリッシュされたデータソースからの新規ワークブックの作成およびパブリッシュ | |||
パブリッシュ済みの既存のデータソースを「データに聞く」機能で探索 | |||
新規データソースからの新規ワークブックの作成およびパブリッシュ | |||
新規データソースの作成およびパブリッシュ | |||
Dashboard Starters のテンプレートを使った新規ワークブックの作成 | |||
準備 | |||
新規データフロー (.tfl) の作成 | |||
データフロー (.tfl) の編集および変更 | |||
データのエクスポート (.tde、.hyper、または .csv) | |||
フローのパブリッシュと実行 | |||
フローのスケジュール | |||
フローのパフォーマンスと健全性の監視 | |||
ガバナンス | |||
ユーザーおよびパーミッションの管理 | |||
コンテンツの管理およびデータソースの認証 | |||
サーバーの管理 | |||
リネージおよびインパクトの表示 | |||
データ品質に関する警告の設定 | |||
Server 導入環境の高度な監視 | |||
プログラミングによるコンテンツ移行 |
- ステップ1検証段階
まずは無料トライアルで試しましょう。この場合はライセンス購入が不要になります。Tableau Desktop、Prep、Serverがありますが、ひとまずPrepは省略でもよいと思います。製品それぞれで2週間検証することが出来ます。
トライアル期間が切れた場合もTableau社、代理店に交渉することで延長できる場合があります。
- ステップ2導入段階
購入に際して、Creatorライセンスは最低一つ必須となります。
あとは職場やプロジェクトの規模によってライセンス数を調整します。最初であれば、Creator×1、Explorer×5のセットがオススメです。
- ステップ3展開段階
いよいよ社内で本格的に使う段階になったら、Viewerライセンスを追加します。最低購入数は100なので一気に利用者が増えます。社内でも注目され始めるでしょう。
- ステップ4拡張段階
この段階に来ると、サーバーの管理面で欲が出てくるはずです。また、Prepで作ったフローを共有したり、フローを自動で実行したくなります。
Serverオプション機能- Tableau Data Management Add-on(8,000円)
- Server Management Add-on(5,000円)
所有するライセンス(Creator, Explorer, Viewer)全てに上記コストがかかります。
Tableau Prepを使うようになればわかりますが、追加アドオンは欲しくなります。
この拡張段階に来た日、Tableau社、または代理店と相談することになります。その時は、彼らへの感謝を込めてこう唱えましょう。
- オプション タカイ ネサゲシテ
- オプション タカイ ネサゲシテ
- オプション タカイ ネサゲシテ
彼らは仏。いつの日か思いが届くでしょう。利用者、皆で団結です(笑
ライセンスに関するアレコレ
アクティベーションは2回できる
デスクトップPCなどのクライアントパソコンにインストールするソフトウェアは、1つのライセンスで2回アクティベーションができます。Tableauは、1つはオフィス、もう1つはモバイルなどでの利用を想定しているようです。
参考 1つのライセンスを2つの Tableau Desktop インストールに使用する
Tableau Server テスト環境の扱い
Serverライセンスは、本番・検証で3回アクティベーションが可能です。3回と言っても合算はできないのでそこはご理解を。
参考 Tableau Server テスト環境のライセンス発行
旧買取ライセンスの扱い・移行
やっかいな旧型ライセンス。これ、Tableau社見切りつけているんでしょうね。

旧型ライセンスは、CreatorライセンスやServerライセンス、Viewerライセンスに切り替えることはできません。代理店経由で問い合わせたことがあります。

営業
新ライセンスを購入しなおしてください(容赦なし)
旧ライセンスは保守料を支払っていれば、製品アップデートを行う権利はあります。支払いを止めえるとアップデートできなくなり、新機能が使えなくなります。数年のうちはまぁいいでしょうけど、将来を見越すと微妙ですね…
案外、大量購入している企業なんかは優遇で切り替えされていたりして。
Tableauを効率的・最速で覚える方法
Tableauは公式マニュアルが充実しています。しかし、マニュアルを読み解くにもベースとなる知識、ツール独自のクセを理解することが重要です。
個人的には、動画学習で基礎を身に着けて実際の利用者が執筆した書籍で細かいTipsを習得するのが最速の学習方法です。
▲ Tableauに関する日本語動画をまとめています。「Web担当者Forum」でおなじみのTableau権威者の動画、某大手SIer渾身の動画も紹介しています。
▲ Tableauジェダイたちが執筆した書籍を使えば、一歩先の技術が身につくでしょう。
まとめ
こんな感じでライセンスについてまとめてみました。
オススメの代理店ってどこだろう。今使っているところイマイチで…
Tableau社から土管のようにライセンス販売するだけのところは価値ないですね… (^-^;)